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贅沢なひと時
北欧の家具が暖かく感じられるのはなぜだろう。
「冬が長く、家で過ごす時間が長いから」
確かにその通り冬のコペンハーゲンの日照時間はとても短く、そしてロンドンのようにうす曇りで真昼でも暗いという。また街中の店は遅くても5時には閉まってしまう。
でも単に家で過ごす時間が長いからではなく、たとえ働く時間、場所であっても快適さは忘れない。

それはまさに、家具を作る現場も同じだ。職人たちはそれぞれのペースで、よりよいものを作っている。
たとえ多少時間がかかろうとも、まず自分たちの生活のリズムがあり、それから仕事がある。そういったゆったりとした空気が、彼らの手から生み出される家具に伝わらないはずはない。
北欧の職人たちが作る家具には、既に北欧のゆったりとしたリズムが乗っているのだ。

まさに職人の人柄がそのままにじみ出たような工房に出会った。そこにはハンス・ウェグナーやフィン・ユールといった名作と言われる家具は一つもなかったけれども、その場所で生活する人の人となりがありありと感じられ、日本から遠く離れた国なのに初めての場所とは思えない、そして彼女と会うのも初めてとは思えない、心からのくつろぎを感じた。
そして彼女が紡ぐ麻のカーペットは彼女そのものだ。決して誰もが手に入れることができるものではないけれど、その理由も作業の一つ一つを見れば納得できる。彼女のカーペットを毎日の生活で使うことが出来る人はなんて幸運なのだろう。

コペンハーゲンの港を出て京都まで2ヶ月あまり。北欧の長い冬の空気を含んで、大切に作られた家具たちが間もなく夏の京都に到着する。
北欧の職人たちの送り込んだゆったりとした空気を、家具を通して忙しい日々の中でも感じることができたら、これほど贅沢なことはないのではないだろうか。

【写真はテキスタイル工房のキッチンにて】
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